隕鉄ボウル製作記


こちらは2005年4月に初めて制作した当時の記録です。
ですので、ネタが微妙に古い点(○泉とかw)は笑って許してください…



或る冬の日、常連様のお一人からお電話で「天鉄のボウルはないの?」と聞かれた店主。

「は…天鉄…とは、ナニですか?」

どうやら鉄隕石のことらしいです。そんなボウルが世の中にあったとは…世界ってひろ〜い♪

さっそくネパールのボウル問屋に問い合わせです。

「メテオライトというのは聞いたコトありマス。でもネパールにはナイネ。あっても90%ニセモノと覚悟セヨ」

え〜そ〜なんですか。。。無念…

そして月日はかる〜く流れ……早春の或る日に再び電話が鳴りました。


日本では隕鉄が簡単に買えるノダ!!

この事実を知らされ、おのれの勉強不足にヨロめきつつ、ふっ…と織田信長の例えが頭をヨギリました。

”ナイのなら 作ってしまえ 隕鉄ボウル♪”







「持ってくれば作れるカモヨ」と、Mr.Tuladhar(ボウル問屋のご主人)に言われたので、

うりゃ! 決行するデス!

4月某日、ナミビア産のギベオン隕石をバックパックに入れて、デリーから空路カトマンドゥへ…


8,000m級のアンナプルナ山系
おお〜ヒマラヤが見えてきました。もうすぐカトマンドゥ♪


ふぃ〜いい天気っすね〜♪ デリーよりちょっと涼しっすね〜。

空港は特に警戒厳重とか聞いたけど、兵士の姿はさほど多くないように見えました。のどかなモンです。

それよりここも乾燥しまくってますけど、どうよ…ホコリが、お肌が…






ボウルファクトリーは、パタン(カトマンドゥの隣町)郊外の水田が広がる風景の中にありました。

工房のご主人Rajendraさんいわく、

「平日だと20人くらい働いてマス。今日は金曜日(ここは金・土が休日)なんでその半分」

お休みのとこを申し訳ないが、さっそく炉に火を起こしてもらいます。


炉(まだ火は入ってません)
この穴でボウルの母体を作ります


炉の温度が上がるまで時間がかかるので、コーラを飲みつつ休憩。。。

Rajendraさんのお父さん、Shakya氏がボウルマイスターです。結構お爺ちゃんですが元気に現役。

金属の配合分量はマイスターによって決められます。その詳細は極秘。

「彼にとっても初めての金属、少し心配してマス。うまくできるといいネ」

「私たちは隕鉄なんて、たとえ知っていても手にする機会がない。新しい知識が増えてウレシイネ!」

Tuladhar氏の言葉に、こんなトコから国際交流もアリ〜と思う私。(単純)






炉の温度が上がったので、いよいよ作業に突入。

最初に投入するのは溶解温度の高い鉄。金・銀は最後になります。


職人サンは耐火構造なのか?
あっつぅ〜! あの、足乗ってますけど…


炉の中に溶解用の器を入れ、金属を投入していきます。

今回使用するのは金・銀・銅・錫・亜鉛・鉛・鉄・水銀・隕鉄の9種類。

金属によって溶ける時間が違うので、結構時間がかかります。


魔女の鍋みたいでしょ
浮き上がってくる不純物を取り除く


有毒ガスが出るため、炉の一角は青天井です。つまり屋外と同じ。

しかし…熱いっ! デリーが天国に思える。大変な作業に涙(私がやってんじゃないけど…)






ボウルに使われる一部の金属は国外から輸入しているそうです。

「スズはマレーシアから入ってきマス。最近はだいぶ値上がりしましたネ」

まぁ、そうでしょうねぇ。

日本の100円ショップなんか見たら、彼らはどう思うのだろーか?


ボウルの約80%は銅
デカ天秤で銅を計量中






金属も徐々に投入されてゆき、次は鋳型作り。


基盤となる真鍮の型(上下に分かれています)の周りに、きめの細かい黒い土?を詰め込みます。

内側にも詰め込んで、さらに白い砂?でカバーして、ギュギュッと押し固め。


鋳型作りの様子 根気いります!
左:金色の物体が基盤  右:基盤を外すとこうなる(内底部分)


「この作業はとってもムズいんですヨ〜」

固めたところで慎重に基盤を取り除くと、土と土の間に半切りボウル型の隙間ができるワケですね。

これを上下合わせて鋳型の出来上がり!

この作業は作るボウルの数だけ必要なので、ここでも涙〜。。。(ウソ)






さて、いよいよ大詰め。

さきほど作った鋳型の隙間にドロドロマグマ状態の金属を流し込みます。

お、おぬし素手で勝負か?

シツコイようですけど、マジ熱ーいんですってば!


でもって、素手なんだよ。。。
流し込み作業。スピード勝負!


…なんと、この一発目は失敗でした。

それは私が写真を撮るために流し込みを数秒止めたので、型の中で中途半端に冷えてしまったから!

スマヌ、スマヌ…許されよ。






そして二発目。今度はお邪魔いたしません。。。

流し込んで、外枠を外し、固めた黒土の鋳型を壊すと…


う、生まれましたよぉ〜!
出来立てアツアツの隕鉄ボウル♪ 鳴らしたいけどさわれないってば!


おお〜♪ うまくいったじゃないっすか!?

「できたネ〜、大丈夫!」

小泉某じゃないけど”アリガトー感動したぁー!”






最後に仕上げ作業を見せていただきました。

すでに冷えて完成している他のボウルを、機械で削っているところです。

ここで不要な部分を取り除き、さらに別の部屋で目の細かいヤスリを使って磨きます。

模様付けは違う場所でやりますが、今回はここまで。


ここでも火傷にご注意あれ♪
削り作業で、あたりは金属粉の山。再利用するのか…訊き忘れた


わーい、削り終わったボウル、どんな感じ〜?……ぎゃっ、熱っ!

キ、キミたちは…なんで素手か! 素面で渡すなっ!

「ウヒャヒャ♪ 日本人、指の皮薄いネ〜」






こうしてギベオン隕鉄ボウルは無事完成いたしました。

いやぁ〜、いろいろ熱かったけど、メチャおもしろかった!


笑顔のオヤジふたり♪
イシュワル・M・トゥラダー氏とラジェンドラ・サキャ氏
ご協力ありがとうございました



今回ご協力いただいたTuladhar氏、Shakya親子、工房の皆様、

そして私に隕鉄ボウルを作る機会を与えてくださった方々、本当にありがとうございました!




Photo & Writing by Harumi Sunar Imafuku





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